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2013年11月 6日 (水)

フィギュアスケートで使われる「歌劇(オペラ)」について

みなさま、先週の三連休はいかがお過ごしでしたか。

「それを聞くのは野暮でしょ」というお声が聞こえてきそうですが、まさにその通り。
連休をフィギュアスケートに費やすのは至極まっとうな判断(一部の方に限る)。

しかしその後、睡眠不足などで無理がたたり角膜炎を患ってしまった私は、肝心の演技が見れないという最大の苦痛を味わうハメに(∈Д∈)
あらためてシーズン中の体調管理には気を付けようと思いました(何様)

さてそうは言ってもCoC(中国杯)と東日本選手権でアドレナリンが出っ放し。
今週はとうとうNHK杯で、GPFにあのゴールデンスピンが被るよ!などと話題はつきません。

ブログの方はと言いますと先週に引き続き、「フィギュアスケートで使われる〇〇」のご紹介をしたいと思います。
本日のテーマは「歌劇(オペラ」。
今回もあらすじだけでなく、選手の演技内容も一緒に考察してみました。

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【セヴィリャの理髪師】

(主な登場人物)
フィガロ …理髪師。町の何でも屋。
ロジーナ …お金持ちのお嬢様。学生のリンドーロに恋心を抱く。
バルトロ …医者でロジーナの後見人
アルマヴィーヴァ伯爵 …貧乏学生リンドーロに扮した伯爵。ロジーナを見初める。
バジリオ …音楽教師

(あらすじ)
18世紀スペインのセヴィリャ。プラードで見初めたロジーナを追いかけてやってきたアルマヴィーヴァ伯爵だが、彼女には後見人の医者バルトロがいて、しっかりとガードしている。困った伯爵は顔見知りの町の何でも屋で理髪師のフィガロに助力を頼み、隙を見て「私は貧しいリンドーロ、あなたを妻に迎えたい」と窓の下から歌ってロジーナに訴える。これを聞いてリンドーロとの結婚を心に誓うロジーナ。フィガロはさっそく伯爵に知恵を教える。まず酔っ払いの士官に変装してバルトロ家に入っていき、ロジーナに手紙をそっと渡す。また音楽の先生ドン・バジリオの代理に化けて行き、ロジーナと駆け落ちの約束を取りつける。夜中、伯爵とフィガロがロジーナを連れ出しにやってくるが、学生のリンドーロの正体が伯爵であることを知ったロジーナは、腹を立ててしまう。しかしその誤解もすぐに解け、バルトロ派のバジリオも寝返り、作戦は見事に成功する。

★今シーズンこの作品を選んだ選手は何を演じている?
アンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ(イタリア)/フリーダンス →ロジーナ(カッペちゃん) / 学生リンドーロ&アルマヴィーヴァ伯爵(ルカ)
※あれ?ルカはフィガロじゃないのと思うなかれ。このお話は「セヴィリヤの理髪師」で「フィガロの結婚」ではありません。ここに登場するフィガロはあくまでロジーナと伯爵の仲介人という役柄。
まず、演技開始前のポーズをご覧ください。ルカ君がカッペちゃんを見ています。これはロジーナへ思いをよせるリンドーロ(伯爵)そのもの。振付の中に何度かキスをする振付があるのも相手がリンドーロ(伯爵)だからこそ。最後にカッペちゃんがルカの背中を怒ってたたくシーンがありますが、これは学生のリンドーロの正体が伯爵であることを知ったロジーナが腹を立てたシーンを表現したのではないかなあと思いました。肝心の二人はすぐ仲直りし、見事カップル成立となるのでした。ちゃんちゃん。

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【サムソンとデリラ】

(主な登場人物)
サムソン …怪力を授けられたユダヤ人の青年
デリラ …ペリシテの美女
ダゴンの大祭司
アビメレク …ガザの太守

(あらすじ)
紀元前1150年、イスラエルのガザ。ペリシテ人に征服されたイスラエルの人々を力強く励ます若者サムソンは、自分たちをあざ笑う太守アビメレクを刺し殺す。しかしその後ダゴンの神殿から現れたデリラの美しさにサムソンは心奪われてしまう。一方サムソンに復讐を誓うデリラは「今日こそ私の虜にしてみせる」と意気込む。そこへやってきたサムソンはデリラの誘惑に心乱され、ついに「デリラ、愛している!」と叫んでしまう。デリラは「あなたの怪力の源を打ち明けて」と迫り、サムソンは拒否するも、結局デリラの家の中に入ってしまう。そこへ大祭司と兵士たちが押し寄せ、サムソンは怪力の源である髪の毛を切られ、盲目にされてしまう。挙句に神殿でのペリシテ人たちの祝宴に連れてこられ、大祭司から嘲りの言葉を投げかられる。神殿を支える巨大な2本の柱の間に立ったサムソンは「かつての力をお返しください。復讐を遂げさせてください」と神に祈り、全身の力で柱をゆすると、神殿は大音響とともに崩れ始める。

★今シーズンこの作品を選んだ選手は何を演じている?
高橋成美&木原龍一(日本)/ショートプログラム →デリラ(成ちゃん) / サムソン(木原くん)
※今季成龍がショートに選んだ曲は歌劇「サムソンとデリラ」より“あなたの声に私の心は開く”。
美しく着飾ったデリラが、誘惑に負けて自分の家を訪れたサムソンに愛を囁き、サムソンの誓いに喜んで歌うという、実に優美で官能的な内容の曲です。
ただしここで注目したいのは、デリラはサムソンを愛していないということ。そもそもお互い敵同士であることを考慮しながら、演技を見るとまた一味違ったプログラムに見えてくるかもしれません。

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【イーゴリ公】

(主な登場人物)
イーゴリ・スヴィアトスラヴィチ …イーゴリ公
ヤロスラヴナ …イーゴリ公の後妻
ガリツキー公 …ヤロスラヴナの弟
ウラジーミル・イーゴレヴィチ …先妻の息子
コンチャーク …ポーロヴェッツの汗
コンチャコヴナ …コンチャークの娘

(あらすじ)
12世紀のロシア。脅威を与えるポーロヴェッツ人討伐に、ノヴゴロドの領主イーゴリ公は出陣して敗れ、息子ヴラディミルとともにポーロヴェッツの長コンチャーク汗の捕虜となる。
一方、ノヴゴロドの留守を守る妻ヤロスラヴナの弟ガリツキー公は、権力をかさに酒池肉林に耽るうち、ポーロヴェッツが侵攻、街は戦火にさらされる。汗の娘コンチャコヴナを愛した息子を後に残し、手引きを得たイーゴリ公は脱出に成功して首都プーティヴリに戻り、妻を抱擁し民衆の歓呼を受ける。

(こぼれ話)
ボロディン唯一のオペラ作品として知られるも、実は未完成作品だった「イーゴリ公」。
これを完成させたのは、彼の友人のリムスキー=コルサコフとグラズノフでした。

★今シーズンこの作品を選んだ選手は何を演じている?
ベラ・バザロワ&ユーリ・ラリオノフ(ロシア)/フリープログラム →奴隷の女たち(バザロワちゃん) / イーゴリ公(ラリオノフさん)
※バザラリが使用している「だったん人の踊り」はポーロヴェッツ人討伐に出陣して敗れ捕虜となったイーゴリ公を慰めるために、コンチャーク汗が歌や奴隷の女たちの踊りでもてなしてあげるシーンの曲。イーゴリ公を慰める奴隷の女たち扮する健気なバザロワちゃんの舞に、心を打たれます…(ラリオノフさん心なしかもうれしそう)

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【蝙蝠(こうもり)】

(主な登場人物)
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン …金持ちの地主
ロザリンデ …アイゼンシュタインの妻
フランク …刑務所長
オルロフスキー公爵 …ロシアの若い貴族
アルフレード …声楽教師
ファルケ博士 …アイゼンシュタインの友人、あだ名は‟こうもり博士”
アデーレ …ロザリンデの小間使い

(あらすじ)
舞踏会の帰途、友人アイゼンシュタインにこうもりの仮装で置き去りにされ、“こうもり博士”のあだ名がついたファルケ博士が、暴行事件で服役前のアイゼンシュタインをオルロフスキー公爵の舞踏会に誘い出し、復讐を遂げるというお話。夫人や小間使い、刑務所長、かつての恋人のオペラ歌手などが絡んで起すドタバタ物語。

(こぼれ話)
オペラ「こうもり」は、内容が大晦日の晩の話であることから、ウィーン・ミュンヘンの他のドイツ語圏では年末恒例の出し物となっています。

★今シーズンこの作品を選んだ選手は何を演じている?
西野友毬(日本)/フリープログラム →オルロフスキー公爵邸で開かれる舞踏会での仮装の人々
※序曲ということもあり、どの場面を演じているのか詳細はわからないが、恐らくこのオペラの舞台の中心となるオルロフスキー公爵のパーティー(舞踏会)を表現しているのではないかと推測。パーティー用の長手袋を着用しているのもポイント。

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【ウィリアム・テル】

(主な登場人物)
ウィリアム・テル …スイスの愛国者
エドヴィージュ …テルの妻
ジェレミー …テルの息子
アルノール・メルクタール …長老の息子。スイスの愛国者
長老メルクタール …アルノールの父。村の長老
ジェスレル …悪代官
王女マティルド …スイスを支配するハプスブルグ家の王女

(あらすじ)
13世紀オーストリア統治下のスイス、アルトドルフ村。「悪代官ジェスレルへの抵抗運動の中心になれ」とテルに説得された村の長老の息子アルノールは、敵ハプスブルグ家のマティルド姫と恋仲のため逡巡するが、父が殺されたと知って立ち上がる。統治記念日に無礼があったと息子ジェレミーを捕えられ、彼の頭上のりんごを射落とせば許すと、ジェスレルに挑発されたテルは首尾よく成功したが、隠し持った矢を発見され逮捕される。嵐で湖上の船から脱出したテルは、息子が手渡した弓矢で船上のジェスレルを射殺、アルノールたちも城を攻略してスイスに自由が戻る。

(こぼれ話)
38歳でオペラの作曲をやめたロッシーニ最後のオペラ。実はフランス語がオリジナル。

★今シーズンこの作品を選んだ選手は何を演じている?
織田信成(日本)/フリープログラム →ウィリアム・テル
※息子ジェレミーの頭上に置いたリンゴを射抜くという挿話で有名な「ウィリアム・テル」。この超有名シーンを振付でも取り入れている織田選手。最後のスピン(キャメル→キャノンボール→ブロークンレッグ→ショットガン)の後、まさに矢を射抜く動きを取り入れています(よく見ると射抜くときにパーンて叫んでるぅ!!)

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【トスカ】

(主な登場人物)
トスカ …歌姫(嫉妬深い)
カヴァラドッシ …画家でトスカの恋人
スカルピア …警視総監
アンジェロッティ …カヴァラドッシの旧友で政治犯

(あらすじ)
1800年ローマ。美貌の歌手トスカと愛し合う画家のカヴァラドッシは、脱獄してきた政治犯の友人アンジェロッティの逃亡に力を貸す。トスカに横恋慕するローマの警視総監スカルピアはチャンスとばかりに、アンジェロッティをかくまった疑いでカヴァラドッシを逮捕し、拷問にかける。その場に呼ばれたトスカは恋人のうめき声に耐えられず、アンジェロッティの隠れ場所を話してしまう。トスカと取り引きに入るスカルピア。恋人の命を助けたい一心のトスカは、身を任せる代わりに処刑は形だけ、それに外国渡航許可証を受け取る約束をスカルピアから取り付ける。そしてトスカはスカルピアが許可証を書いているすきにテーブルの上に置かれたナイフを取り、刺殺してしまう。トスカは処刑間近のカヴァラドッシに事情を話、すぐに外国に逃げようと話す。しかし形だけの処刑とは真っ赤なウソ、愕然とするトスカは「スカルピアめ…!」と叫んで、サンタンジェロ城の屋上から身を投げる。

★今シーズンこの作品を選んだ選手は何を演じている?
エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)/フリープログラム →カヴァラドッシ
※今季プル様のフリープログラムは過去曲のメドレー。その中の一曲として発表されたのがこの「星は光りぬ」。これは夜明け前の聖アンジェロ城の屋上で、処刑の時を待つカヴァラドッシがトスカへの遺書を書き始め、愛の思い出を泣き伏しながら歌う、テノールの最も有名なアリア。

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【トリスタンとイゾルデ】

(主な登場人物)
イゾルデ …アイルランドの姫
トリスタン …コーンウォールの勇士
マルケ王 …トリスタンの伯父
ブランゲーネ …侍女

(あらすじ)
アイルランドのイゾルデ姫は、かつてコーンウォールの勇士トリスタンを婚約者を殺した敵と知りながら命を救い愛するが、トリスタンは伯父マルケ王の妃にイゾルデを推挙し迎えに来る。イゾルデは恨み、老王と愛のない生活を送るよりはと、毒薬をトリスタンに飲ませ、残りを自分が飲み干す。しかし侍女ブランゲーネが愛の妙薬に代えていただために、二人は抱き合い、愛に浸る。不倫を知った王が密会中に現れ、家臣の剣でトリスタンは瀕死の重傷を負い、居城へと運ばれる。イゾルデは城に赴くが、トリスタンは「イゾルデ!」の一言で息絶え、彼女も愛の法悦のうちに死ぬ。

★今シーズンこの作品を選んだ選手は何を演じている?
ジェフリー・バトル(カナダ)/フリープログラム →トリスタン
※今季新プロとして選んだ曲はイゾルデの「愛の死」。これは待女の告白で真相を知り、赦しに現れたマルケ王の見守る中、失神から目覚めたイゾルデが歌う官能的な愛の法悦。そんなプログラムを表現できる男性と言えば、ジェフしょ!
イゾルデの愛を受けとめ昇天する相手役トリスタンにまさしく適役な方だと思います。

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~おまけ(組曲)~
【ペールギュント】

(主な登場人物)
ペール・ギュント …夢見がちで怠慢な豪農の息子
オーセ …ペールの母
イングリット …ペールの元恋人
ソルヴェイグ …心清らかな美しい女性
魔王 …ドブレ国の魔王
緑の服をきた少女 …魔王の娘
トロル …魔王の手下
アニトラ …美しい踊り子

(あらすじ)
夢見がちな豪農の息子ペール・ギュントは、母オーセとの2人暮らし。ある日元恋人だったイングリットの結婚式が行われ、招待も受けていないのにやってきたペールは会場にいたひとり若くて清楚な女性ソルヴェイグにたちまち恋をする。しかし元恋人が結婚を嫌がっていることを知ると当人を連れて逃亡。しかし一夜明けると途端に飽きてひとり放浪の旅に出る。
旅の途中で山の魔王の娘と結婚させられそうになったペールだったが、ソルヴェイクと再会して心穏やかな日々を過ごす。しかしペールはまたも彼女を待たせたまま放浪の旅に出る。
帰郷したペールは母を訪ねるが彼女は死の床に伏していた。母の死を看取るとペールは巨大な富を築きながら、美しい踊り子アニトラに騙され全財産を失うなどさまざまな冒険をする。遍歴を重ねすっかり年老いたペールは最期は故郷で過ごそうと帰国の途に着く。するとその途中、すっかり老いぼれた盲目のソルヴェイクと再会。彼女は白髪になってもペールを待ち続けたのだった。今までの自分のしてきたことを悔いるペール。そんな彼をソルヴェイクはやさしく包み込み、膝に抱いて子守唄を歌う。
深い愛情の中解き放たれたペールは、彼女の美しい歌声を聴きながらゆっくりと息を引き取る。

★今シーズンこの作品を選んだ選手は何を演じている?
ミハル・ブレジナ(チェコ)/ショートプログラム →ペールギュント
※ペールギュント(26曲)の中で今回ブレジナ選手が選んだ曲は「山の魔王の宮殿にて」。
これは山奥に迷いこんだペールが、魔王の国の娘を妻にしてドブレ王国を手に入れようと魔王の元へ向かい、突き付けられた結婚条件に血相を変えて、命からがら逃げ出すシーンの曲。最後のステップにもキック要素が入っていたりと、ペールがトロルや魔王たちから必死で逃げている感じ(!?)がうかがえます。
ちなみに魔王の出した結婚条件ですが、1つは「魔の国の飲み物を飲むこと」、2つは「尻尾をつけること」、3つめは「目玉をひっかき、傷をつけること」なんだとか。尻尾は見てみたい気が(駄)

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いかがでしたでしょうか。
今回はアイスダンスやペアの選手の使用曲もあり、二人で演じるということはその登場人物も増えるわけで、見方もずい分と変わってくるなあと思いました。

例え敵国同士の設定が多くても、人間関係を必要以上に複雑化しちゃっても、それでも大好きだよ、オペラ。

次回は「ジャズ」のご紹介です。どうぞお楽しみに!(o゚∀゚o)

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